COLUMN
エンジニアの転職が怖いあなたへ。動けないときに考えたいこと
この記事の結論
転職の怖さは、何が怖いのかを分けると小さくなります。動くか残るかを決める前に、5年後の自分を書き出してみましょう。
転職して今より悪くなったらどうしよう。そう思うと、求人サイトを開いても閉じてしまう。そういう状態のまま、気づけば数年たっていたという話は珍しくありません。
怖いという感情を無理に消す必要はありません。ただ、何が怖いのかを分けないまま抱えていると、判断そのものを先送りしてしまいます。ここでは怖さの中身を分けて、転職するか残るかを決める前にできることを整理します。
エンジニアが転職を怖いと感じるのはなぜ?
一番多いのは、今の職場がそこまで悪くないことです。待遇に大きな不満はなく、人間関係も荒れていない。プラスはないけれどマイナスもない。こういう職場にいると、わざわざ動かなくてもいいか、という気持ちになります。
ただ、米田は、第三者から見ると環境を変えたほうがいいように見えることも多いと話します。本人の中では「不満がないから現状でいい」になっていても、外から見ると担当する技術が数年変わっていなかったり、任される役割が固定されていたりする。居心地の良さと、キャリアが前に進んでいるかどうかは別の話なんです。
だから、転職するかどうかを今決める必要はありません。やっておきたいのは、判断材料を切らさないことです。米田は、転職サイトに登録して定期的に情報を見ておくこと、今のトレンド技術は何なのかを追いかけていくことを挙げています。登録したからといって応募しなければいけないわけではありませんし、スカウトの内容を眺めるだけでも、自分の経験が市場でどう見られているかの感触はつかめます。
選考で落ちるのが怖いという声もよく聞きます。これは見方を変えると、自分の経験を説明する言葉をまだ用意できていない、ということでもあります。能力が足りないのではなく、整理が追いついていない。この違いは大きいです。
怖いのは「何も変わらない5年間」かもしれない
動かないことにもリスクがあります。米田はX(@enfi_tech)で、転職は怖くない、怖いのは何も変わらない5年間かもしれない、と書いています。
米田自身、新卒で入った1社目を2か月で退職しています。「3年は続けろ」という話も聞いていたそうですが、もしあの会社を辞めずに続けていたらキャリアは壊れていたと振り返ります。その後は派遣エンジニアとして9年ほど働き、2回目の転職をしました。
注目したいのは、その9年の中身です。米田は9年は少し長すぎたような気もすると言いつつ、後半の4年半はFP資格を取ったあとのマインドで過ごしたので悪くない時間だったと話します。同じ会社にいた期間でも、何も変わらなかった前半と、学びながら過ごした後半では意味が違う。つまり、問題は社歴の長さそのものではなく、その期間に自分が変化したかどうかなんです。
代表・米田の視点 「3年は続けろ」みたいな話も聞いたことがありましたが、もし新卒でやめた会社を辞めずに続けていたら、私のキャリアは壊れていたと思います。派遣9年というのは少し長すぎたような気もしますが、それも後半の4年半ではFP資格を取ったあとのマインドの中で過ごしてきたので、悪くない時間だったと思います。動けない時間が長いほど、動くことが怖くなっていきますね。
動けない時間が長いほど、動くことが怖くなる。この部分は、怖くて止まっている人ほど覚えておいてほしいところです。止まっている期間は、怖さを小さくしてくれません。
年齢とともに選べるカードは減っていく
減るのは求人の数そのものより、自分の側の条件です。米田は、年齢というよりライフステージの影響が大きいと考えています。
結婚すると、相手の職場や実家の場所によって住む地域の候補が絞られることが多くなります。住む場所が決まれば、通える会社も自然と限られます。子どもができると、転職して収入が一時的に下がったときに生活を守れるのかという不安が出てきます。米田は、この「今より悪くなるのでは」というリスクが、転職を止めてしまう一番の理由だと話します。
ここで言いたいのは、急げということではありません。条件が増える前と増えたあとでは、同じ「転職するかどうか」でも検討の難しさが変わる、ということです。今の自分が使える選択肢を一度並べておくと、あとで条件が増えたときにも判断しやすくなります。
ちなみに、年収を上げるために転職しても、引っ越しや税金、失業保険の関係で一時的に手元のお金が減ることはあります。米田はこの点について、目先は不安定でも長期の目線で考える必要があると述べています。短期の増減だけで判断すると、動くことも残ることも怖くなります。
転職の前にできる小さな一歩
決める前にやることは、自分の現在地を書き出すことです。米田は、まずBE-DO-HAVEの棚卸しワークから始めてほしいと話します。
BE-DO-HAVEは、ENFIの受講生が最初に取り組む棚卸しの方法です。Have(今持っているもの・経験)、Be(5年後どうなっていたいか)、Do(そのために今すること)の順に書き出します。スキルや年収の話より先に、今の経験とありたい姿を言葉にして、その差から行動を決める。この順番がポイントです。
米田は、Haveだけでも整理できれば今の自分の市場価値が見えてくると言います。そうすると、転職したほうがいいのかどうかも見えやすくなります。Haveで書き出す項目は3つです。
- 職務経験・技術スキル。担当したプロジェクトの内容と自分の役割、使った技術を書く
- 実績・成果。誇れる成果、乗り越えた課題、チームに貢献したこと
- 仕事以外の経験・強み
ここで大事なのは、ENFIが転職ありきで考えていないことです。書き出した結果、今の会社に残って担当領域を広げるのが一番早いという結論になることもあります。社内で異動を希望する、学び直して別の技術領域に移る、という道もあります。転職・残留・異動・学び直しを並べたうえで、自分で選べる状態になることがゴールです。
転職するかどうかを決めようとするから怖い。決める前に材料をそろえるだけなら、今日でもできます。
今日からできる次の一歩
ノートでもメモアプリでも構いません。今日は次の2つだけやってみてください。
- BE-DO-HAVEのBe1に、5年後「あの人といえば○○」と言われたい専門性を1行書く
- Have1として、直近2年で関わったプロジェクトの内容と自分の役割、使った技術を書き出す
Be1の1行が書けないなら、それが今の状態です。書けないこと自体は悪いことではありません。何を目指したいか分からないまま転職先を探しても、判断の基準がないので、どの求人を見ても決め手がないままになります。
あなたは5年後、どんなことで頼られていたいですか。その答えが1行書けたら、動くか残るかの話は、そこから始められます。
よくある質問
転職が怖いと感じるのは甘えですか。
甘えではありません。収入や生活への影響を考えれば、慎重になるのは自然なことです。問題は怖さがあることではなく、何が怖いのかが分からないまま判断を先送りしてしまうことです。
スキルに自信がなくても転職を考えていいですか。
考えて構いません。自信のあるなしは主観なので、まずは関わった案件と担当した役割を書き出して、客観的な材料に直すところから始めてください。書き出してみると、思っていたより語れることがある場合もあります。
転職するか迷ったまま何年もたってしまいました。手遅れですか。
手遅れということはありません。ただ、結婚や子どもの誕生などライフステージが変わると、住む場所や収入の条件で選べる仕事が絞られていきます。迷っている状態そのものを、期限を決めて一度終わらせるのがおすすめです。
転職以外の選択肢にはどんなものがありますか。
今の会社に残る、社内で異動を希望する、学び直して担当領域を広げる、といった選択肢があります。ENFIは転職ありきで考えません。これらを並べたうえで、本人が納得して選べる状態をゴールにしています。