COLUMN

エンジニア就活の軸が決まらない学生へ。決め方と面接での伝え方

公開日 著者 ENFI編集部 監修 米田葵

この記事の結論

就活の軸は、業界の違いを知ったうえで、今持っているものと5年後のありたい姿から決めます。面接では軸の理由を自分の経験とつなげて話しましょう。

エンジニア就活の軸は、なぜ決まらないのか

多くの場合、会社ごとの仕事内容や働き方の違いを知らないまま、自分の希望だけで軸を決めようとしているからです。選択肢を知らない状態で「何を基準に選ぶか」を考えても、答えは出ません。

米田も、学生と話していて最初に感じるのは業界理解の不足だと言います。ITエンジニアと一口に言っても、開発系、インフラ系、機械系で専門が違います。さらにメーカー系、SES系、SIer系では、働き方そのものが変わってきます。この違いを知ったうえで、自分の軸を見つけていけると米田は考えています。

会社の案内に書いてある言葉だけを見比べても、違いは見えてきません。どの会社も「成長できる環境」と「若手から活躍」を掲げているからです。

「成長できる環境」では会社を比べられない

軸として挙がりやすいのが、成長できる環境、安定している、風通しがいい、といった言葉です。働くうえで望むこととしては、どれも自然だと思います。ただ、この基準でA社とB社に差をつけられるでしょうか。たぶん、つけられないはずです。

軸は、会社を落とせるかどうかで強さが決まります。「3年目までに自分でコードを書く仕事をしたい」なら、研修後の配属先が運用保守中心の会社は候補から外れます。「ハードウェアに近いところを触りたい」なら、Webサービスだけを作っている会社は違う、と判断できます。会社を選べるだけでなく、選ばない理由も言えるところまで具体的にすると、基準として使えるようになります。

軸は、今持っているものと5年後の姿から決める

ENFIでは、学業や課外活動で得たもの(Have)を書き出し、5年後にどんなエンジニアになっていたいか(Be)を決めてから、そこに近づくための行動(Do)を考えます。スキルや年収は手段と結果なので、順番としてはあとです。

学生の場合、Haveに書くことは3つの方向から集まります。1つは学業と課外活動で、卒業研究やゼミのテーマ、授業で作った制作物、アルバイトの内容です。2つめは実績で、アルバイトで工夫して効率化したこと、ハッカソンに出たこと、授業の課題で自分なりに改善したことが入ります。3つめは仕事以外の経験で、サークル、留学、趣味で続けていることです。

Beのほうは、5年後にどの分野の専門性を持っていたいか、どんな働き方をしていたいか、周りからどう見られる人でいたいかを書きます。ここで「あの人といえばこれ、と言われたい分野」が1つ浮かぶと、軸はかなり絞れます。

HaveとBeが並ぶと、そのあいだの差が見えます。その差を埋められる会社かどうかが、あなたの軸です。

代表・米田の視点 今の私が学生に戻って就活するなら、まず業界理解をして、大学で学んだこと(Have)と突き合わせて軸を決めます。偏差値の低い大学だったので、まずは現場経験の積めそうな会社を探すと思うんです。自分の持ち札と、その会社で何を経験できるかを並べて考える。これが一番やりやすいやり方だと思っています。

学生のHaveは、授業やアルバイトの中にある

「書けるものが何もない」と思う人は多いです。でも、Haveは実務経験のことではありません。卒業研究で何のテーマを選んだのか、なぜそのテーマにしたのか。アルバイトでやりにくいと感じた作業を、どう変えたか。そこに、あなたが何を面白いと思い、何が苦にならないかが出ています。

ENFIは、キャリアに迷っている人を能力が足りない人だとは考えていません。素材はすでに手元にあって、まだ並べ替えられていないだけ、という見方をしています。学生の場合はなおさらで、書き出す前に「ない」と判断してしまっているケースが多いです。

インターンで、軸を確かめる

書き出した軸は、インターンや説明会で実際の仕事に触れて確かめます。頭の中だけで作った軸は、現場を見た瞬間に変わることがよくあります。

米田はAIコーディングのインターンで講師をしていますが、軸がはっきりしている学生には会ったことがないと話します。働いたことがないのだから当然で、そもそも業界を理解できる場所がほとんどないのだから仕方ない、という見方です。つまり、インターンに行く時点で軸が固まっていなくても、何も遅れていません。

だからインターンでは、仕事の内容そのものより、その周りを見てください。一日のうち、コードを書く時間はどれくらいか。誰と話しながら進めるのか。分からないことが出たとき、周りの人はどう動くのか。この3つは、入社してから毎日付き合うことになる部分です。終わったあとに、面白かった場面と退屈だった場面を1つずつ書き残しておくと、次に受ける会社と比べられます。

面接では、軸の理由を経験とつなげて話す

軸そのものより、なぜその軸なのかを自分の経験から話せるかどうかが見られます。立派な軸を暗記して話しても、理由が後付けだとすぐに分かります。

話す順番はシンプルです。自分の経験を1つ挙げ、そこで何を感じたかを言い、だからこの軸になった、とつなげる。「ゼミで画像処理のプログラムを書いたとき、動かして結果が見えるところが面白かった。だから、自分の書いたものがどう使われるか見える仕事がしたい」といった形です。経験は、すごい実績である必要はありません。本当にあったことなら、話は具体的になります。

採用する側として米田が印象に残ると感じるのは、エンジニアとしてのビジョンだけでなく、業界全体の動きまで見えている学生です。そういう学生にはまだ出会ったことがないとも話しています。裏を返せば、自分の希望に加えて「この業界はこれから何が増えそうか」を自分なりに考えて話せる人は、かなり目立つということです。無理に専門的なことを言う必要はなく、インターンや説明会で聞いた話を自分の言葉でまとめ直すだけでも違います。

どうしても決まらないときは

先輩エンジニアに相談してください。米田は、これが一番早いと考えています。現場で働いている人からは、リアルな失敗経験が聞けるからです。

企業の説明会で語られるのは、基本的にうまくいった話です。一方で、先輩エンジニアに聞けば、配属が思っていたのと違った話、こういう選び方をして後悔した話が出てきます。選ばないほうがいい条件が分かると、軸は一気に絞れます。

相談先は、研究室の卒業生、アルバイト先の社員、インターンで会ったメンターなど、話を聞ける距離にいる人で十分です。聞くことは、いま何をしているか、入社前のイメージと違ったのはどこか、会社を選ぶときに何を見ておけばよかったか。このあたりを聞ければ、一回の会話でかなり材料が増えます。

軸が決まらないまま選考に進むことを、失敗だと思わなくて大丈夫です。たくさんの企業と出会うこと自体が、比べる基準を作る作業になります。

今日からできること

まずは、BE-DO-HAVEのHaveを書き出すところからです。紙でもスマホのメモでもかまいません。

  1. 学業と課外活動で今やっていることを3つ書く。卒業研究やゼミのテーマ、授業で作った制作物、アルバイトの内容など
  2. そのうち、やっていて面白いと思ったものに丸をつけ、どこが面白かったのかを一言添える
  3. 開発系、インフラ系、機械系のどれに近い仕事なのか、メーカー・SES・SIerで働き方がどう違うのかを調べて、知らない言葉を一つ潰す

ここまでやると、次に説明会で聞くべき質問が自分で作れるようになります。軸は、考え込んで思いつくものではなく、書き出したものを並べたときに見えてくるものです。

よくある質問

就活の軸はいくつ持てばいいですか?

数に決まりはありませんが、2つか3つあると企業を比べやすくなります。多すぎると当てはまる会社がなくなるので、絶対に譲れないものと、できれば叶えたいものを分けて考えると整理しやすいです。

「成長できる環境」は就活の軸として弱いですか?

そのままだと、ほとんどの会社が当てはまってしまうので、会社を選ぶ基準として働きません。何の成長を指すのか、どんな仕事を何年経験したいのかまで言葉にすると、比べられる基準になります。

軸が決まらないままエントリーしてもいいですか?

問題ありません。説明会や選考で企業を見ること自体が、比べる材料を増やす行動になります。受けた会社ごとに良かった点と引っかかった点をメモしておくと、あとから軸が形になります。

面接で軸を聞かれたら、どう答えればいいですか?

軸そのものより、なぜその軸なのかを自分の経験から説明できるかが見られます。学業やアルバイトでの出来事を1つ挙げ、そこから何を大事にしたいと思ったのかにつなげて話してください。

業界の違いは、どうやって知ればいいですか?

説明会やインターンのほか、現場で働いている先輩エンジニアに聞くのが早いです。開発系・インフラ系・機械系といった仕事内容の違いと、メーカー・SES・SIerといった働き方の違いを分けて聞くと整理できます。