COLUMN

転職以外でエンジニアが昇給する方法と、社内で評価される伝え方

公開日 著者 ENFI編集部 監修 米田葵

この記事の結論

転職以外で年収を上げるには、会社の評価基準を確認し、担う役割を広げ、成果を事実として伝えます。まず自社の昇給の仕組みを知ることから始めます。

今の会社に大きな不満はなく、人間関係も技術領域も働き方も合っている。それでも年収だけが数年横ばいで、同年代の話を聞くと少し焦る。辞める理由がないのに年収の話だけが解決しないまま残っている方は少なくありません。

仕事は回せていて、周りからも頼られています。それでも評価面談は「期待どおりです」で終わり、何を変えれば等級が上がるのかは説明されません。これは力が足りないせいとは限らないんです。

転職以外で年収を上げる方法は何がある?

社内に残ったまま収入を増やす道は、昇格・昇給、役割の変更(異動や兼務)、資格手当などの制度の活用、副業の4つです。どれを狙うかで、話す相手も時間のかかり方も変わります。

選択肢 向いている状況 時間のかかり方 話す相手
昇格・昇給 今の職種で成果が出ていて、等級の制度がある 評価期間ごと(半年〜1年) 直属の上司とその上の評価者
役割の変更(異動・兼務) 今の部署で担える範囲が頭打ち 数ヶ月〜1年 上司、異動先の責任者、人事
資格手当・制度の活用 手当や等級の要件に資格が紐づいている 数ヶ月 人事・総務
副業 就業規則で認められていて、本業に余裕がある すぐ〜数ヶ月 人事(申請先)

転職は5つ目の選択肢として、手元に置いておけば十分です。ENFIは転職ありきで話を進めません。ただ、候補から完全に外してしまうと、今の会社で提示されている条件が妥当なのかを比べられなくなります。

同じ働きをしても、会社が何で利益を出しているかによって払える上限は変わります。米田は、年収が上がるかどうかはその会社がどんなビジネスをしているかで決まる部分が大きく、スキルよりも環境の影響が大きいと考えています。自社の売上がどこから来ているのかは、社内の打ち手と並行して知っておいてください。

評価が上がらないのは、評価基準を知らないから

評価が上がらない理由の多くは、会社が何に対してお金を払っているのかを確認しないまま、目の前の仕事を全力でやっていることにあります。能力の問題だと決めつける必要はありません。

米田自身、陰で頑張るタイプだと感じていて、だからこそ報われにくさもわかると言います。評価の差は、やったことをどう伝えるかで開きます。黙って品質を上げ、黙って障害を止めた仕事は、評価する人の手元に記録として残りません。

まずは人事制度のページを開いて、今の等級と次の等級の要件を並べてみてください。たいてい「担当範囲」「難易度」「他者への影響」といった言葉で書かれています。満たせていないものは何かを3行でメモします。制度が文書になっていない会社なら、直近で昇給した人がどこまでの仕事を担っているかを見るのが早いです。

上司に話すときは、「年収を上げてほしい」だけを伝えるとその場で止まります。次の等級の要件を満たすために今期どこを担えばよいか、という相談の形にしてください。

  1. 評価期間が始まる前に、30分の時間をもらう
  2. この半年でやったことを、事実と影響のセットで並べる(どのシステムの何を変え、誰のどんな困りごとを減らしたか)
  3. 「次の等級に上がった人と比べて、私に足りていないのはどこですか」と、上司の言葉で言ってもらう
  4. 次の半年で担う範囲を、その場で合意して文字に残す

米田は、揉めるような辞め方はやめたほうがいいと話していますが、これは社内で条件を相談するときも同じです。上司との関係を保ったまま話を進めるほうが、あとで選べる道が増えます。

役割を広げると、評価される項目が変わる

担当する範囲を一段広げると、評価のときに見られる項目そのものが変わります。同じ仕事の質を上げ続けるだけでは、次の等級の要件に届かないことがあるからです。

広げ方は大きく2方向あります。ひとつは、自分が担当している工程の前後に関わることです。要件定義の打ち合わせに参加したり、運用や障害対応まで引き受けたりします。もうひとつは、レビューや設計方針の決定、後輩の支援など、他の人の仕事を成立させる側に回ることです。

米田自身は、担当エンジニアから中間管理職であるPMへ進みました。先輩エンジニアがやっている姿を見て、見よう見まねで任されるようになりました。わりと丸投げされたけれど、自分から動かざるを得なかったのが逆によかったと振り返っています。

ただ、マネジメントが唯一の道ではありません。米田はエンジニアのマネジメント職をウルトラハードモードだと言います。人を動かすにも技術力がいるからです。設計やレビューで他の人の仕事を成立させる進み方も、同じように担当範囲を広げる動き方になります。

代表・米田の視点 会社にお世話になったという気持ちや、転職回数が増えるのが嫌だという気持ちはわかります。その点も踏まえたうえで、本当に今の会社にいるべきなのかを総合的に見て判断していく必要があると思います。そのためにキャリアの棚卸しをするんです。

ENFIでは、この棚卸しをHave、Be、Doの順で書いてもらっています。今持っているもの(職務経験、誇れる成果、仕事以外の強み)を先に並べ、次に5年後のありたい姿を決めてから、3ヶ月以内にやる行動を決めます。年収はHaveの一部です。ありたい姿が決まると、昇格を狙うのか、異動で領域を変えるのかも絞りやすくなります。

今日からできる次の一歩

ひとつめは、自社の等級の要件と評価シートを探して読むことです。今の等級と次の等級の差を3行で書き出して、次の評価面談に持っていきます。制度が見当たらなければ、誰が昇給を決めているのかを上司に聞くところからで構いません。

ふたつめは、実績・成果を3つだけ書き出すことです。誇れる成果、乗り越えた課題、チームへの貢献の3つで考えてみてください。どのシステムで、誰の何を解消したかまで書けば、そのまま面談で話せる材料になります。

関わった案件と役割を紙に書き出すと、今の会社で取りに行く役割も、取りに行かない役割も判断できるようになります。年収の話は、書き出したあとに始めても遅くありません。

よくある質問

昇給交渉をすると、評価が下がったり気まずくなったりしませんか?

「上げてほしい」だけを伝えると話が止まりやすいので、次の等級の要件と自分の現状の差を一緒に確認する相談の形にします。評価期間の前に時間をもらい、やったことを事実として並べると、上司も社内で説明しやすくなります。

資格を取れば年収は上がりますか?

会社に資格手当があるか、等級の要件に資格が紐づいているかで変わります。制度を先に確認してください。紐づいていない場合は、資格より担当する範囲を広げるほうが評価に反映されやすいこともあります。

副業は昇給の代わりになりますか?

就業規則で認められていれば収入を増やす手段になりますが、本業の評価とは別の軸です。本業の時間を削って本業の評価が下がると総額で損をすることもあるため、どちらを主にするかを決めてから始めます。

社内で頑張っても年収が上がらないと分かったら、どうすればいいですか?

会社の事業の作りや制度の上限が理由であれば、異動や職種の変更、転職も選択肢に入ります。その場合も、5年後にどうなっていたいかを先に言葉にしてから手段を選ぶと、同じ悩みを繰り返しにくくなります。

評価制度が明文化されていない会社ではどうすればいいですか?

制度がなくても、昇給を決めている人と判断の材料は必ず存在します。直属の上司に、どういう人が上がっているのか、最終的に誰が決めるのかを聞いてみてください。実際に昇給した人がどこまでの仕事を担っているかを見るのも手がかりになります。