COLUMN

エンジニアの職務経歴書、案件の羅列で終わらせない書き方

公開日 著者 ENFI編集部 監修 米田葵

この記事の結論

案件ごとに役割・自分が判断したこと・結果の3点を書くと、面接で話す材料になります。案件名と技術名の羅列も、この3点を足すだけで読まれ方が変わります。

職務経歴書に案件名と期間と使った技術を書いたところで、手が止まってしまうことがあります。間違ったことは書いていないのに、読み返すと自分が何をした人なのかが伝わってきません。ここでは、案件名だけが並んだ書類を、面接で話せる形に書き直す手順を説明します。

職務経歴書が案件の羅列になってしまうのはなぜ?

案件名・期間・使った技術だけを並べると、読む人は「この人は何をした人か」を読み取れません。その結果、面接で質問される材料も残らないんです。

たとえば「金融系Webシステム開発/2年/Java、Spring Boot、Oracle」と書いたとします。ここから分かるのは、その現場にいたということだけです。設計をしたのか、実装だけだったのか、テストや障害対応まで見ていたのかが分かりません。同じ案件に10人いれば、10通りの経験があるはずなのに、書類の上では全員同じ1行になってしまいます。

もうひとつ、よくあるのが成果の書き方です。ENFIの書類レビューでは、成果の部分を数字で書くように指摘することが多くあります。「バッチ処理の実行時間を半分にした」と書けば、読む人がそのときの状況を想像できます。「性能を改善した」だけでは、どの程度の改善だったのかが伝わりません。手元に数字が残っているなら、そこは惜しまず使ってください。

案件ごとに「役割・判断したこと・結果」を書く

案件ごとに、自分の役割、自分が判断したこと、その結果の3点を書きます。この3点がそろうと、面接官は質問の糸口を見つけられます。

項目 書くこと 面接での使われ方
役割 担当した工程、チーム内の立ち位置、人数規模 「どこまで任されていたか」を確認される
判断したこと 何を選び、なぜそうしたか。代替案があったなら、それも 「なぜその判断を?」と深掘りされる
結果 数字で書けるものは数字で。なければ変わった事実を 「再現できる力か」を見られる

3点のうち書き落とされやすいのが、自分が判断したことです。ライブラリを選んだことも、テストの範囲を決めたことも、仕様の矛盾に気づいて確認したことも、判断にあたります。言われた通りに作っただけ、と感じている人ほど、よく思い出すと小さな判断を毎日しています。

結果に書ける数字がないときは、無理に作らないでください。レビューで指摘される回数が減った、手作業だった確認作業がスクリプトで済むようになった、翌年から同じ役割を後輩に教える側になった、といった事実も結果として書けます。

ENFIでは、キャリアを考えるときにまずHave(今持っている経験)を書き出すところから始めます。職務経歴書を書く作業は、このHaveの棚卸しとほぼ同じです。だから転職するかどうかを決めていない段階でも、書く価値があります。書き出した一覧は、社内で異動を希望するときの材料にも、次に何を学ぶか決める材料にもなります。

代表・米田の視点 私が自分の職務経歴書を書いたときは、自分の強みと、その求人に対して何を伝えるかをセットで考えていました。読む相手に伝わりやすいことを書きたいと思っています。

守秘義務で案件を書けないときはどう書く?

案件名や取引先の会社名を出せなくても、業種、自分の役割、判断したことは書けます。伏せる部分と書ける部分を分けて考えてください。

実際によく使うのが、業種と匿名の組み合わせです。米田は、「自動車メーカーのT社」のような書き方を伝えることが多いと話します。これなら取引先を特定せずに、どんな規模・どんな業界の仕事だったかは伝わります。「大手通信キャリアのS社向け」「地方銀行向け」といった書き方も同じ考え方です。

守秘義務の範囲は、契約書の内容と所属会社の規程で変わります。どこまで書いてよいかは一律には決まりません。迷う部分があれば、自己判断せずに所属先の営業担当や人事に確認してください。確認したうえで書いたものなら、面接で説明を求められても落ち着いて答えられます。

技術スタックについても、案件を特定されそうな構成なら、「クラウド上のコンテナ基盤」のように一段抽象度を上げて書く方法があります。そのうえで、話せる範囲は面接の場で口頭で補えば足ります。書類ですべてを説明し切る必要はありません。

案件の詳細を書きにくい働き方でも、業種・役割・判断したことを現場ごとに書いておけば、複数の現場で何をしてきたかは伝えられます。

今日からできる次の一歩

今日やるのは、直近の案件を1つ選んで3行書くことだけです。完成させようとしなくて構いません。

  1. 直近の案件を1つ選び、「役割」「自分が判断したこと」「結果」を1行ずつ書く。判断したことが思い出せなければ、その案件で自分が誰かに相談された場面を思い出してみてください。
  2. 書いた中で、守秘義務にふれるかもしれない部分に印を付け、誰に確認するかを決める。所属先の営業担当か人事か、名前まで決めておくと動けます。

1案件書けたら、同じ形式で残りの案件も埋めていけます。

よくある質問

職務経歴書は何ページくらいが適切ですか?

決まったページ数はありません。読む人が案件ごとの役割・判断・結果を追える量にしてください。古い案件や期間の短い案件は、数行にまとめて構いません。

使った技術は全部書くべきですか?

案件で実際に使い、面接で聞かれても答えられるものを中心に書きます。少し触っただけの技術まで並べると、深く聞かれたときに答えに詰まることがあります。

結果を数字で書けない場合はどうしますか?

数字を作る必要はありません。レビュー指摘が減った、手作業だった確認が自動で済むようになったなど、実際に変わったことを事実として書きます。任された範囲が広がったことも結果のひとつです。

職務経歴書は転職するときしか意味がないですか?

そんなことはありません。関わった案件と自分の役割を書き出した一覧は、社内で異動を希望するときや、次に何を学ぶか決めるときの材料にもなります。