COLUMN
エンジニアの副業の始め方|キャリアにつながる案件の選び方
この記事の結論
副業は案件探しより先に、何を得たいか(Be)と今ある経験(Have)の整理から始めます。その差分を埋める案件を選ぶと、収入とキャリアの両方が積み上がります。
エンジニアの副業は、何から始めればいい?
案件を探す前に、就業規則の確認と「副業で何を得たいか」を言葉にすることを先に済ませます。この順番を逆にすると、受けた案件が本業の延長作業で終わりがちです。選ぶ基準を持たないまま応募すると、単価と空いている時間だけで案件を決めることになり、半年後に残るのが振込履歴だけになることもあります。
ENFIでは、キャリアの棚卸しをHave(今持っている経験)、Be(5年後にありたい姿)、Do(そのための行動)の順番で書きます。今関わっている案件と役割を書き出し、5年後にどんな専門性で呼ばれたいかを考え、その差を埋める手段として副業が合うなら進める、という決め方です。ENFIのワークシートでも、経験者のDo2(1〜3年の行動)に副業という項目が入っています。
始める前には、次の4点を確認してください。
| 確認すること | 見るポイント | 確認しないと起きること |
|---|---|---|
| 就業規則 | 副業の可否、許可申請の要否、競業避止の範囲 | 無許可での受注が社内で問題になるおそれ |
| 使える時間 | 平日夜と休日で安定して出せる週あたりの時間 | 納期の遅れ、本業の仕事の質が落ちる |
| 契約の形 | 業務委託(準委任か請負か)、雇用契約か | 成果物の責任や稼働義務について認識がずれる |
| 税務 | 確定申告が必要かどうか、経費と記帳 | 申告漏れ、住民税の通知で会社に意図せず伝わる |
税務は所得の種類や金額、給与の状況で扱いが変わるので、国税庁の案内を読むか、税務署か税理士に確認してください。記帳だけは最初の月から始めておくと、あとで慌てずに済みます。また、本業で書いたコード、顧客リスト、設計書を副業先に持ち込むのは避けてください。
キャリアにつながる副業の選び方
本業では経験できない工程や立場が含まれる案件を選ぶと、副業が職務経歴に書ける経験になります。本業で下流の実装だけを担当しているなら、要件定義やインフラの構築、運用の設計、コードをレビューする側に関われる案件のほうが、同じ時間でも身につくものが多くなります。成果を公開できるリポジトリや数字で示せる改善として残せるか、一度きりで終わらず運用の段階まで関係が続くかも、見分ける材料になります。
副業の種類で見ると、受託開発は収入が読みやすい代わりに本業と同じ技術の繰り返しになりやすく、技術支援やアドバイザーは本業では若手の立場でもレビューする側に回ることがあります。講師や執筆は、知っているつもりの知識を人に伝わる形に書き直す作業になります。
米田は、普段と違う仕事をすることで違うスキルが身につくと考えています。米田自身、金融系の副業で講師をしていたときに対人スキルが身につき、それが本業のエンジニアの仕事にも活きて、PMとしてパワーアップした感覚がありました。
本業と同じ作業で単価だけを取りにいく副業を否定するつもりはありません。短期で収入を増やしたいなら、慣れた技術で確実にこなすほうが合理的です。困るのは、何のためにやっているのかを決めないまま選ぶ場合です。ENFIは転職ありきの立場を取らず、副業も残留・異動・学び直しと並ぶ選択肢のひとつと考えています。
最初の案件の取り方と、時間の作り方
公開できる実績を1つ用意してから、知人経由とマッチングサービスの両方に当たるのが現実的です。
- Haveの棚卸しをして、プロジェクト内容・役割・使用技術を書き出す
- 公開できる成果物を1つ用意する(リポジトリ、技術記事など)
- 週に出せる稼働時間と、対応できる範囲を文章にしておく
- 知人、前職の同僚、コミュニティと、マッチングサービスに並行で当たる
- 初回は範囲を小さく区切って受け、納品してから継続を相談する
米田は、開発系の副業案件は競争率が高く単価も低いけれど、実績を積むにはありだと考えています。無料で引き受ける形も選択肢に入れていて、とにかく最初は実績作りが重要だという立場です。
時間は週に数時間から始めてください。ENFIのQUESTでは、設計の検討はスマホでAIと相談して、実装はPCでやる進め方と、エラーで15分悩んだら一人で抱えずに人に聞く決まりを勧めています。副業は相談できる相手が社内にいないので、質問する先をあらかじめ決めておくと、週数時間の枠を守りやすくなります。
代表・米田の視点 最初は週に数時間程度でよいと思います。副業に時間を使う習慣がついていない状態でいきなり量を増やすと、長続きしません。まず時間を確保する習慣を作ってから、案件の量や内容を調整していくほうが現実的です。
続かないと感じたら、単価、稼働時間、案件の内容のどれが原因かを分けて考えてください。本業で任される範囲を広げるほうが早い時期もあるので、副業をやめるのもひとつの選択です。
今日からできる次の一歩
まず、就業規則の副業に関する条項を読んで、許可が必要かどうかをメモしてください。読んでも範囲がはっきりしない部分は、確認先と一緒に書き残しておきます。
次に、ENFIのワークシートの設問を2つだけ書いてみてください。Have1(プロジェクト内容と役割、使用技術)と、Be2(働き方・ライフスタイル)です。この2つを並べると、今の働き方と5年後の希望の間で何が足りないかが分かります。その差を1行にまとめたものが、あなたが副業で埋めたいものです。案件を探すのは、そのあとで間に合います。
よくある質問
会社が副業禁止の場合、どうすればいいですか?
まず就業規則の条文と、許可制になっていないかを確認してください。全面禁止でも、OSSへの参加や技術記事の執筆など、報酬を伴わない形で経験を広げる方法はあります。自分で判断せず、人事や上長に確認するのが安全です。
実務経験が浅くても副業は始められますか?
工程を区切った小さな案件や、保守・改修の一部から始める人がいます。ただ本業の経験が浅い時期は、副業より本業で任される範囲を広げるほうが結果的に早いこともあります。何を得たいかを先に決めてから判断してください。
副業の収入は確定申告が必要ですか?
所得の種類や金額、給与の状況によって変わります。国税庁の案内を確認するか、税務署や税理士に相談してください。記帳と経費の記録は、始めた月から残しておくと後が楽になります。
副業の経験は転職のときに評価されますか?
担当した工程と役割を自分の言葉で説明できれば、職務経歴の材料になります。守秘義務の範囲内で、課題・担当範囲・工夫した点を書ける形に整理しておいてください。案件名を出せない場合も、技術構成と役割なら書けることが多いです。
副業と本業、どちらを優先すべきですか?
契約上の責任は両方にありますが、生活の基盤は本業にあることが多いです。本業の評価が下がるほど副業に時間を割いている状態なら、稼働量か案件内容を見直す段階だと考えてください。