COLUMN
未経験からのエンジニアキャリアプラン、目的から逆算する立て方
この記事の結論
未経験のキャリアプランは言語選びからではなく、今の自分(Have)とありたい姿(Be)を書き出し、その差分から3ヶ月の行動(Do)を決めるのが先です。
未経験からエンジニアを目指すと決めた日から、検索し続けている人は多いと思います。Progate、Udemy、スクール比較、言語ランキング。情報は集まったのに、自分がどれを選ぶべきかだけが決まらない。選べないのは、比べるときに何を重く見るかという基準が、自分の中でまだ決まっていないからです。
未経験のキャリアプランは、なぜ言語選びから始めると迷うのか
言語やスクールは手段なので、目的が決まっていないと比較の基準が作れないからです。
「PythonとJava、どっちがいいですか」という問いは、何をしたいかが決まって初めて答えが出ます。AIをやりたいのか、業務システムを触りたいのか、インフラに行きたいのか。そこが白紙のまま比較表を眺めても、どの列を重く見ればいいか分からない。だから情報を集めるほど迷いが深くなります。
ENFIがスキルや年収の話より先にキャリア設計を置いているのは、この順番の問題があるからです。自分が何を大事にしたいか、何が得意か、今どこまでできるかを整理しないまま、学習サービスやスクールの候補だけ増やしても、どれを選ぶかは決められません。
そしてもう1つ、いまは前提が変わりつつあります。米田が未経験の方への最初の質問に選んでいるのは「今のITエンジニアの仕事がAIでどう変わってきているか、イメージつきますか?」というものです。プログラミングが書けること自体の価値は、もうほとんど残っていないと考えているからです。学ぶ対象を決める前に、この前提を持っているかどうかで計画の中身が変わります。
「未経験歓迎」の情報が多いほど判断が難しくなる
未経験向けの広告は、どれも「ここから始めれば大丈夫」と言ってくれます。言っている内容が近いほど、読み手は差を見分けられません。自分の中に判断の基準がないと、最後は広告をよく見かけるかどうかで選ぶことになってしまいます。言語やスクールを比べる前に、何をしたいかを先に決めてください。
目的から逆算する3ステップ(BE-DO-HAVE棚卸し)
Have(今持っているもの)、Be(5年後の理想)、Do(3ヶ月の行動)の順に書き出します。ENFIの受講生が最初に取り組むワークシートと同じ順番です。
- Have:現在の学習状況と技術スキル(学習中の言語、作ったもの)、前職のポータブルスキル(ドメイン知識・コミュニケーション・論理的思考・マネジメント)、自分の資質(ものづくりが好き、地道な作業が苦にならない など)
- Be:目指すエンジニア像と技術領域(フロント・バック・AI・インフラ)、働き方(自社開発・受託・フリーランス・リモート)、どんな人物でいたいか
- Do:3ヶ月以内の学習範囲とアウトプット、就活から入社1年目にやること、自走力とポータブルスキル×技術をどう語るか
Beが先に来ないところがポイントです。理想だけ先に書くと、だいたい求人票の見出しみたいな文章になります。Haveを先に書いておくと、自分の経験やスキルとつながった理想が書けます。
未経験こそHaveから書く理由
未経験は経験ゼロ、という言い方をよく見かけますが、ENFIはそう考えていません。進む方向が決められないのは、能力や才能が足りないからではありません。これまでの経験を、エンジニアの仕事で使える形に書き出せていないだけです。接客で培った説明の順序、在庫管理で身につけた数字の扱い、前職の業界知識など、技術と組み合わせると仕事で使える強みが、たいてい何かしらあります。
最初の就職先は開発職でなければ失敗なのか
遠回りとは限りません。大事なのは、そこから開発の仕事にどう進むかを、自分で計画できているかどうかです。
未経験からだと、いきなり開発職に入りたいと思いがちです。ただ現実として、AIの台頭でジュニアエンジニアの居場所は狭くなってきていて、未経験の就職ハードルは上がっています。最初から開発職だけに絞って探すと、応募できる求人はそれだけ少なくなります。
代表・米田の視点 未経験からだと、いきなり開発に入りたいと思う方が多いです。でも最初にヘルプデスクを1年しっかりこなすのも、私は立派なキャリアだと思うんです。大事なのは、そこからステップアップできるかどうか。正直、いまはAIの台頭でジュニアエンジニアの居場所が減っていて、未経験の就職ハードルは上がってきています。だからこそ入り口の形より、入ったあとの道筋を先に描いておいてほしいです。
米田自身、新卒で入った1社目を2ヶ月で辞めて、そこから派遣エンジニアとして開発経験を積み直しました。マイナスからのスタートでも、何をどの順番で身につけるかを決めておけば、経験は積めます。
入り口ごとの違いを整理する
| 入り口 | 得やすい経験 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| ヘルプデスク・運用保守 | 現場の全体像、業務知識、PCやネットワークの基礎、ユーザー対応 | 開発経験への接続を自分で設計する |
| SES・受託開発 | 複数の現場と技術、経験が浅くても入りやすい | 案件が自分のBeに沿っているか定期的に確認する |
| 自社開発 | 1つのプロダクトに長く関わる経験 | 未経験での入り口は相対的に狭い |
SESについて米田は、経験が浅いうちならむしろおすすめだと言っています。会社や先輩の信頼で仕事をもらえるのがSESの仕組みで、経験の浅い人を拾ってくれる場所は他に多くないからです。
ヘルプデスクから開発の仕事に移れる人と、ヘルプデスクのままの人の差は、エンジニアとしての学習を続けられているかどうかです。業務でPCの基礎知識は身につきますが、それは開発スキルとは別物です。業務外の学習が1年分あるかどうかで、2年目の選択肢は変わります。
3ヶ月・1年・3年でキャリアプランを分けて書く
3ヶ月先は行動、1年先は職種と実績、3年先はありたい姿というように、期間ごとに書く細かさを変えると書きやすくなります。
3ヶ月は具体的に。学習範囲とアウトプットまで落とします。米田が未経験の最初の3ヶ月に入れておきたいと言っているのは、コンピュータの仕組みを体系的に学ぶことです。ITパスポートのような資格勉強はその入り口として使えます。言語の文法を断片的に追うより、コンピュータ全体の仕組みを先に知っておくほうが、あとで個別の言語を学ぶときに理解しやすくなります。
1年は、入社後に何を担当して何を語れるようになっているか。3年は、Beそのものを更新する時期だと考えてください。
そして、プランは固定ではありません。ENFIの基本パックでも、最初に学習計画を立てたあと、3ヶ月目までのあいだに中間振り返りを入れて方向性を調整します。書いた計画は、情報が増えたら直していくものです。
学習が続かないのはやる気の問題ではない
学習で一番つまずきやすいのは、途中でやめてしまうことです。続くかどうかは、やる気より、続けられる仕組みを持っているかどうかで差がつくと考えています。
ENFIのQUESTには「パーティの掟」があります。エラーで15分悩んだら悩みすぎなのでAIに聞く、次に検索、それでも駄目ならメンターに聞く。コードは暗記せず、何を作りたいかのほうに頭を使う。設計はスマホでAIと相談して、実装はPCでやる。未経験の学習設計としても、この考え方はそのまま使えます。
学習が続くかどうかは、分からないところで手が止まっている時間をどれだけ減らせるかで決まります。ひとりで悩んでいると15分が3日になることもあるので、質問できる仲間や先輩がいる場所で学ぶのもひとつの方法です。
AIとの付き合い方についても、米田の考えははっきりしています。いま未経験からやり直すなら、まずCursorのようなAIエージェントで動く成果物を作り、それを教材にする。AIが書いたコードをひたすら質問して理解していく。初学者ならIDEがある環境のほうがおすすめだと考えています。AIはドーピングのようなもので、扱えるエンジニアは強くなれる。そういう前提で学び方を組み立てるということです。
プランが書けたかを確かめる3つの質問
次の3つの質問に人前で答えられれば、プランはひとまず書けています。
- 5年後のありたい姿を、一文で言えるか
- 3ヶ月後に何が出来上がっているか(学習範囲ではなく、成果物として)
- それを誰に、何で示すか(GitHub、デモ、自分の言葉)
3つ目が抜けがちです。QUESTでは面接で話す3分の型として、課題を30秒、Issueの分け方を30秒、PRとレビューで直した点を40秒、デモを60秒、学びを20秒という配分を使います。この型に沿って話せるかどうかを逆算すると、学習中に何を記録しておくべきかが見えてきます。作ったものより、作った過程のほうが語れる材料になるんです。
今日からできる次の一歩
ノートを1ページ開いて、2つだけ書いてみてください。
- 前職で身につけたポータブルスキルを3つ書き出す(ドメイン知識、コミュニケーション、論理的思考、マネジメントのどれに近いか添える)
- 「5年後、◯◯ができるエンジニアでいたい」を一文にして、そこから3ヶ月のDoを1つだけ決める
Doは1つで十分です。並べるほど動けなくなりますから。
目指す先は就職や転職だけではありません。いまの仕事を続けながら学ぶ、社内のIT業務に手を挙げる、という進み方もあります。どれを選ぶかを決めるのはあなたですが、決めるための材料は今日から用意できます。
よくある質問
未経験のキャリアプランは何年先まで考えればいいですか?
まずは5年後のありたい姿を一文にして、そこから3ヶ月の行動に落とすと動きやすくなります。1年後の職種や担当業務は、入社後に情報が増えてから更新して構いません。
学習する言語はどう決めればいいですか?
目指す技術領域(フロント・バック・AI・インフラ)と働き方を先に決めると、候補が絞れます。そのうえで求人情報を見て、実際に募集されている技術と照らし合わせるのが現実的です。
ヘルプデスクや運用保守から入るのは遠回りですか?
遠回りとは限りません。最初の1年をしっかりこなすのも立派なキャリアです。大事なのは、その間にエンジニアとしての学習を続けられているかどうかだと考えています。
前職がITと無関係でも書けることはありますか?
あります。ドメイン知識、コミュニケーション、論理的思考、マネジメントなどのポータブルスキルは、技術と組み合わせたときに価値になります。まずHaveとして書き出してみてください。
AIが進化しても未経験からエンジニアを目指す意味はありますか?
ENFIは、AIは扱えるエンジニアを強くする道具だと考えています。一方でジュニアの入り口は厳しくなっている面もあるので、AIを前提にした学び方を最初から設計することが大事です。