COLUMN

未経験エンジニアのポートフォリオは「作って終わり」にしない

公開日 著者 ENFI編集部 監修 米田葵

この記事の結論

ポートフォリオは、何を考えて作り、どう直したかを説明できるかで評価されます。目指す方向を先に決めてから作ると、題材を選びやすくなります。

何を作れば評価されるのか分からないまま、ReactかVueかの比較だけで時間が過ぎている。未経験からの転職活動では、ここで止まる人がよくいます。作るものが決まらない人の多くは、学んできたことと前職の経験をまだ書き出せていません。

未経験のポートフォリオは何で評価される?

技術の珍しさよりも、何を課題だと考え、どう判断して作り、作ったあとに何を直したかを自分の言葉で説明できるかが見られます。採用担当が知りたいのは、入社後にどう考えて動く人かだからです。

米田が未経験の方のポートフォリオを見るとき、最初に確認するのはルートフォルダのREADMEです。最初に見せるページに、このアプリは誰の何を解決するものかという概要が書かれているかどうか。ここが書けていれば、相手は自分から深掘りの質問をしてくれます。逆に、いきなりコードやデモだけを見せられると、何を聞けばいいか分からず会話が止まってしまいます。

ENFIのスキル学習オプションQUESTでは、GitHubに積み上げたものがそのままポートフォリオになるように進めています。語る材料は3つあります。作品として何を作ったか、プロセスとしてIssueを立ててPRでレビューを受けテストを書いたか、運用として止め方や費用、パスワードなどの秘密情報をどう扱ったか。この3点がそろうと、実務の現場で必要な考え方が身についていると伝わります。

進め方としては、次の流れを1セットにすると形になります。

  1. 解きたい課題を1つに絞って、文章で3行書く
  2. 最小構成で動くところまで作り、機能を足す前に公開する
  3. GitHubでIssueを立ててから着手し、変更はPRで残す
  4. 公開後に自分で使い、直した点を記録する

最初から機能の多いものを目指すと、作業が止まりやすくなります。エラーで15分悩んだら、AIに聞く、検索する、人に聞く。ENFIではこの15分ルールを学習者に勧めています。学習が止まる一番の理由は、エラーで行き詰まって挫折することだからです。

作るものが決まらないのは、方向が決まっていないから

題材が決まらないときは、どんなエンジニアになりたいかが決まっていないと考えたほうが早いです。目指す方向が決まれば、作るものの範囲も自然に絞れます。

ENFIでは、スキルや年収の前にHave、Be、Doの順で書き出してもらいます。今持っているもの(Have)、ありたい姿(Be)、そこへ近づくための行動(Do)です。ポートフォリオはDoの中の手段のひとつなので、HaveとBeを書いたあとに決めます。手段から考え始めると、題材の候補が多すぎて決められません。

未経験の方のHaveには、学習中の言語と作ったものだけでなく、前職で身につけたポータブルスキルが入ります。業界の知識、人に説明する力、筋道を立てて考える力、人をまとめた経験などで、これが題材選びの一番の材料になります。前職で面倒だと感じていた作業を題材にすれば、なぜこれを作ったのかを自分の言葉で話せます。誰かが考えた課題をそのまま作るより、面接で話せることが多くなります。

入り口も1本ではありません。米田は、未経験からいきなり開発職を目指したくなる気持ちは分かるとしたうえで、最初にヘルプデスクを1年しっかりこなすのも立派なキャリアだと考えています。大事なのは、そこからステップアップできるかどうかです。作品を作り込んでから応募するのか、運用や社内ITから入って実務の材料を先に取りに行くのか。ENFIは転職ありきで話を進めません。どちらも選べる状態にしてから、自分で決めてもらうのがいいと思っています。

作ったものを面接でどう話す?

作品紹介から入らず、解こうとした課題から話し始めてください。そうすると、実務経験がなくても判断の過程が伝わります。

もったいないのは、技術の細かい話に時間を使ってしまうパターンです。

代表・米田の視点 細かい話はいらないんです。作ったアプリやツールのペルソナ設定や、どんな課題をどんな手段で解決するのかが説明できるだけでいい。使った言語やフレームワークは、現場で同じものを使うとは限りませんから。課題解決はどこの現場でも必要です。

話す順番は、ENFIで使っている3分の型が目安になります。

時間 話すこと 未経験が入れておきたい一言
30秒 解きたかった課題 なぜ自分がこれを作ろうと思ったか
30秒 作業の分け方 どういう順番で段取りしたか
40秒 直した点 うまくいかなかった箇所とその直し方
60秒 デモ 一番見てほしい画面を1つだけ
20秒 学び 次に何を作りたいか

詰まったところは隠さず、話の中心にしてください。表示が遅かったのでデータの取り方を変えた、入力チェックが抜けていて直した、そういう話のほうが、どう考える人かが伝わります。完成品の説明だけで終わると、質問する側も広げようがありません。

今日からできる次の一歩

手を動かす前に、紙でもメモアプリでもいいので書き出すところから始めてください。

  1. Haveの1つめ「今の学習状況と作ったもの」と、Beの1つめ「目指す技術領域」を、箇条書きで今日書き出す。フロント、バック、AI、インフラのどれに近づきたいかだけでも構いません
  2. すでに作ったものがあるなら、READMEの先頭に「誰の、どんな困りごとを、どう解決するか」を3行だけ書き足す

この2つが書けると、次に何を学ぶか、どの作品を作り込むかの判断がしやすくなります。前職で一番面倒だと感じていた作業も書き出しておくと、最初の題材の候補になります。

よくある質問

ポートフォリオは何本作ればいいですか?

本数より、1本を公開して改善したところまで説明できるかが大事だと考えています。数をそろえるために途中で止まった作品を並べるより、1本を深く語れる状態のほうが面接では扱いやすくなります。

Todoアプリやブログのような題材だと評価されませんか?

題材そのものより、なぜその課題を選び、どこで詰まってどう直したかを説明できるかが見られます。ありふれた題材でも、自分の前職や生活の困りごとと結びついていれば話す材料になります。

チーム開発の経験がないと不利ですか?

一人で作った場合でも、Issueで作業を分け、PRで変更を残せば進め方は説明できます。実務のチーム開発と同じではありませんが、段取りを考えて進められる人だと伝える材料にはなります。

インフラやデプロイまでやったほうがいいですか?

公開して動く状態にしておくと、止め方や費用の管理まで話せるようになります。ただし目指す領域によって優先度は変わるので、先に自分が進みたい方向を決めてから範囲を決めるほうが遠回りになりません。

ポートフォリオが用意できないうちは応募しないほうがいいですか?

必ずしもそうではありません。運用や社内ITから入って実務経験を積み、そこからステップアップする道もあります。作品づくりと並行して、応募先の選択肢を広げておくのもひとつの進め方です。