COLUMN

新卒ですぐ辞めたエンジニアが、次で立て直す順番

公開日 著者 ENFI編集部 監修 米田葵

この記事の結論

短期離職は経歴の短さより、次の環境選びで決まります。経験の棚卸しと5年後の像を先に書き、転職・入り直し・学び直しを並べて選びます。

新卒ですぐ辞めたエンジニアは、キャリアを立て直せる?

立て直すことはできます。数年後のキャリアには、短期で辞めたことよりも、次にどんな環境を選び、そこで何年経験を積むかのほうが大きく影響します。

採用する側は、辞めた事実だけで経歴を判断するわけではありません。辞めたあとに何をしたか、今何に取り組んでいるかもあわせて見ています。在籍期間が短いことは変えられませんが、これからの数年をどう過ごすかは自分で決められます。

ENFI代表の米田も、新卒で入った1社目を2か月で退職しています。その数か月後に派遣エンジニアの会社に入り、2つのクライアントで開発経験を積みました。派遣エンジニアを9年ほど続けて2回目の転職をし、大手SESから中小SIerへ移っています。短期離職から始まっても、そのあと経験を重ねてキャリアを作った人はいます。

「マイナスからのスタート」をどう扱うか

短期で辞めたからといって、自分の能力が足りなかったと決めつける必要はありません。配属された業務が自分に向いていなかったというケースは、珍しくないからです。ENFIでは、キャリアに迷う人の多くは、これまでの経験をまだ書き出して整理できていないのだと考えています。研修で触れた技術も、配属先で感じた違和感も、書き出しておけば次の会社を選ぶときの判断材料になります。

代表・米田の視点 正直に言うと、1社目を辞めたあとの数か月、私はあまり何も考えずに過ごしていました。当時の自分は非常に甘い考えだったと思います。親から借りた貯金を切り崩して、夜勤のバイトをするも続かずに辞めてしまって。次の仕事の準備をしっかりできていればよかったのですが、そこは反省しています。今これを読んでいる人には、同じ時間の使い方をしてほしくないです。

求人を見る前に、今の経験と5年後の姿を書く

退職したら、求人を見る前に、今の自分が持っているものと、5年後にどうなっていたいかを書き出しましょう。

ENFIでは、キャリアの棚卸しをHave、Be、Doの順で書いてもらっています。Haveは今持っているもの、Beは5年後にどうなっていたいか、Doはその差を埋めるための行動です。スキルや年収は、Doの手段やその結果にあたるので、Beより先に決めるものではありません。ENFIでは、年収や勤務地などの条件だけで次の会社を選ぶと、前と同じ理由でまた合わない職場に入りやすいと考えています。

短期で辞めた人ほど「書けるHaveが何もない」と言います。でも、研修で触れた言語やツール、配属先でやりかけた作業、学生時代の制作物や卒業研究、アルバイトで工夫したことは、どれもHaveに入ります。

数か月でも書けるHaveの例

ENFIが学生や未経験の人に使っている設問を、そのまま流用できます。学業や課外活動(卒業研究、ゼミ、制作物、アルバイト)、実績や成果(改善したこと、効率化したこと、アルバイトでの工夫)、仕事以外の経験や強み(サークル、趣味、地道な作業が苦にならないといった資質)。この3つに分けて考えると、書けることが見つかるはずです。

Haveを書いたら、次にBeを書きます。どんな技術領域で「あの人といえばこれ」と言われたいか、どんな働き方をしていたいかを考えてみてください。Beが決まっていないと、次の会社を選ぶときに何を基準にすればいいかが分かりません。

辞めた理由は、どう整理しておくといい?

「合わなかった」で終わらせず、何がどう合わなかったのかを業務の内容まで書いておくと、次の会社を選ぶときの条件として使えます。

正直なところ、短期離職のマイナスの印象を完全に消すことはできません。米田も、そこはごまかしつつ、キャリアと向き合っていることを伝えていくしかないと話します。そのため、面接で辞めた理由を話すときも、前の会社を責める言い方は避けたほうがいいでしょう。米田は転職について、揉めるような辞め方はやめたほうがよく、黙って淡々と進めるのが一番だと考えています。辞めたあとに退職理由を話すときも、同じように淡々と伝えるのがよいと思います。

手順はこうです。

  1. 辞めたときに嫌だったことを、思い出せるだけ箇条書きにする
  2. それぞれを「業務の内容」「働き方・時間」「人間関係」「教育体制」のどれかに分類する
  3. 分類したものを「次は避けたい条件」と「次に欲しい条件」の2列に書き分ける
  4. 欲しい条件のほうを、面接で話す言葉にする

前の会社への不満も、こうして「次に欲しい条件」に書き換えておけば、面接では希望として前向きに伝えられます。

次に選べる道を並べて比べる

選択肢は、すぐ次の会社に入る、経験が浅い人を受け入れる環境から入り直す、学習期間をとってから動く、などです。どれが正解かは、書いたBeによって変わります。

選択肢 向いている状況 注意したいこと
すぐに次の会社へ転職 生活や貯蓄に余裕がない。進みたい方向がある程度見えている 条件を下げきって決めると、同じ理由でまた辞めやすい
経験が浅いうちから実務に入れる環境(SESなど)を選ぶ 実務経験がほとんどなく、まず現場に入りたい 入ったあと、どう経験を積んでいくかを自分で考える必要がある
学習期間をとってから動く 進みたい技術領域が決まっておらず、生活に当面の余裕がある 期限を決めずに延びると、説明しにくい空白になる

SESは、会社や先輩たちの信頼で仕事をもらえる仕組みなので、経験が浅い人でも受け入れてもらいやすい働き方です。米田は個人的な意見として、経験が浅いうちのSESは勧められると話しています。経験を積んでからSESを選ぶよりも良いと考えています。SESで働くのは恥ずかしいと言う人もいますが、米田はそれは少し違うと考えています。

米田自身が勧めるのは、基本的にはすぐ次の会社を決めて、働きながら学んでいくやり方です。肉体的にも精神的にも負担は大きいですが、それくらい頑張らないと、先に進んでいる人に追いつき、追い越すことはできないと考えています。学習時間は1日1時間を確保したいところです。

ENFIは転職を前提に話をしません。転職も、入り直しも、学び直しも並べて、本人が自分で選べるようにすることを目指しています。

空白期間が伸びるのが怖いとき

面接では、空白期間の長さよりも、その間に何をしていたかを説明できるかどうかを見られます。

説明に使える材料は、自分で作れます。たとえば学習ログ、小さくても動く成果物、GitHubに残したコミットです。ENFIでは学習の成果を、何を作ったかという作品、どう進めたかというプロセス(課題の分け方、レビューで直した点)、どう運用したかという運用面の3つで説明できるようにしています。面接では「3か月勉強していました」と言うより、「こういう課題を解くアプリを作り、ここでつまずいてこう直しました」と話すほうが、相手に伝わります。

学習に使う期間は、最初に決めておいてください。たとえば1か月と決めたら、その間は棚卸しと学習に使い、期限の日に延ばすかどうかを判断します。期限を決めずに数か月を過ごすとどうなるかは、米田が自分の経験として話したとおりです。

今日やること

今日やることは2つです。

まず、Haveを3項目だけ書いてください。研修や配属先で触れた技術、学生時代の制作物やアルバイトでの工夫、仕事以外の強みを、1項目2行ほどで書けば十分です。

次に、5年後のBeを1行書いて、そこから「避けたい条件」と「欲しい条件」を2列に並べます。米田は、Beの姿をしっかり決めておくことを勧めています。Beが決まっていれば、求人票を読んでいるときや面接の場で、自分に合わない点に気づきやすくなるからです。

書いた紙は、次に求人票を開くときに横に置いておいてください。

よくある質問

新卒で数か月だけ働いて辞めた場合、第二新卒と未経験のどちらとして動けばいいですか?

年齢が若いうちは、どちらの入口も残っていることが多いです。実務経験の長さより、研修や配属で何に触れ、今何を学んでいるかを説明できるかが見られます。自分の経験を書き出したうえで、両方の入口を並べて比べてみてください。

退職理由は正直に話していいですか?

事実は伝えつつ、前の会社を責める形にしないほうが扱いやすくなります。何が合わなかったかを業務内容や働き方の具体まで書き、次はこういう環境で働きたいという条件に言い換えると、話が前に進みます。

すぐ次を探すのと、少し学んでから探すのでは、どちらがいいですか?

米田は、基本的にはすぐ次を決めて、働きながら学んでいくやり方を勧めています。負担は大きいものの、それくらいの力がないと先に進んでいる人に追いつきにくいからです。学習時間は1日1時間を確保したいところです。

短期離職があると、エンジニアとして年収は上がりにくいですか?

在籍期間の短さそのものより、そのあとどんな環境で何年経験を積むかの影響が大きいと考えています。年収はその会社がどんなビジネスをしているかにも左右されます。まずは経験を積める環境を選び、数年単位で見ていくのが現実的です。

一度辞めた自分は、またすぐ辞めてしまいそうで不安です。

5年後にどうなっていたいかを先に決めておくと、求人票や面接で違和感に気づきやすくなります。辞めた理由を避けたい条件として文字にしておくのも役に立ちます。次の職場を選ぶときの判断材料になります。