COLUMN

SESを辞めたい経験1〜2年目へ。早すぎるか迷う人の判断基準

公開日 著者 ENFI編集部 監修 米田葵

この記事の結論

経験1〜2年目でSESを辞めるかは年数ではなく「今の現場で次の1年に何が積めるか」で決めます。辞める場合も残る場合も、先に棚卸しが必要です。

担当しているのはテスト実行、運用監視、問い合わせ対応で、範囲も決まっている。来年も同じことをしている自分が想像できてしまう。そう感じて「辞めたい」と思うのは、能力が足りないからではありません。これまでやってきた仕事を、自分の経験として説明できる形にまだ書き出せていないだけだと思います。

経験1〜2年目でSESを辞めるのは早すぎる?

早いかどうかは年数では決まりません。判断材料は「この現場であと1年やったら、何が身につくか」に自分の言葉で答えられるかどうかです。

答えが出るなら、まだ残る価値があります。何も浮かばないなら、現場を変えるか、会社を変えるかを考え始めていい時期です。

「3年は続けろ」が当てはまる人と、当てはまらない人

3年という数字自体に根拠はありません。ただ、担当工程が少しずつ広がっていたり、来期に別フェーズへ入れる見込みがあるなら、続けたぶんだけ説明できる経験が増えます。こういう人には「3年は続けろ」が当てはまります。

逆に、業務内容が1年変わらず、変えたいと相談できる相手もいない場合は、3年待っても、3年目にできることは1年目とほぼ同じです。

年数より、説明できる経験があるかどうか

選考で見られやすいのは在籍月数そのものより、その期間の役割と判断です。テスト工程だけでも、観点をどう設計したか、どこで不具合を見つけたかを話せれば材料になります。

まず「辞めたい」の中身を3つに分ける

辞めたい理由が現場・会社・SESという働き方のどこにあるかで、打ち手がまったく変わります。米田に相談すると、最初にやるのは「なぜ辞めたいのか」の深掘りです。製造業でよく使われる「なぜなぜ分析」(なぜを繰り返して原因をたどる手法)の考え方を使って、辞めたい理由の奥にある原因まで掘り下げていきます。

不満の中身 原因のありか まず試せること
業務が単調、技術が偏る、人間関係 今の現場 営業に現場変更を相談する
評価基準が不透明、面談が年数回、給与制度 自社 社内の別事業・別チームを聞く、転職の検討
客先常駐そのものが合わない 働き方 自社開発・受託への転職、学び直し

ENFIは転職ありきで話をしません。現場変更、社内異動、学び直し、転職の4つを同じように比べて、自分のありたい姿に近いものを選べるようにするのが、ENFIの相談の目的です。

現場変更は、転職より手間が少なく、早く状況が変わることがあります。退職の手続きも選考もいらず、次の案件から仕事の内容が変わる可能性があります。転職より先に試していい選択肢です。

経験が浅い時期のSESには、構造上の強みがある

経験が浅い人を受け入れる入口として、SESは選択肢が多いほうです。

会社や先輩の信頼で仕事をもらえるのがSESの仕組みです。個人の実績がまだ薄い時期に、それでも現場に入れるのは大きな利点だと米田は考えています。経験を積んでからSESを選ぶより、順番としては自然だという見方です。

ただし、どんな状態でも残るべきという話ではありません。

代表・米田の視点 経験が浅いうちのSESは、個人的にはおすすめです。会社や先輩たちの信頼で仕事をもらえる。経験が浅い人を拾ってくれるところは、正直そんなに多くないと思うんです。ただ、同じ会社の先輩エンジニアが常駐先にいなくて、営業との接触機会も少ない。この組み合わせだと取り残され感が出るので、あまりよくないかもしれません。

常駐先に自社の先輩がいなくて、営業とも話す機会が少ない。この状態が続いているなら、ひとりで我慢を続けるより、先輩や営業と話す機会を作ってもらえないか、先に会社へ相談したほうがいいと思います。

残ると決めたら、次の1年で意識すること

任された仕事のほかに、自分で記録を残し、行動をひとつずつ足していくことです。米田自身が派遣エンジニア時代にやっていたのは、与えられた仕事を期間内にやり切って、余った時間で他チームの様子を見に行ったり、業務改善できそうなところを探すことでした。

  1. 毎週、使った技術・自分の役割・改善したことの3点をメモに残す
  2. 与えられた作業を期間内に終わらせ、余った時間で周辺チームや改善余地を見に行く
  3. 営業面談では、会社にどう貢献できるかを伝える。ただしそれが自分の成長につながるかは自分で確かめる
  4. 障害対応や数字が動いた出来事は、経緯ごと拾っておく

3番目は米田の言葉です。希望を通すには、自分がやりたいことだけを並べるより、会社側の得も一緒に語れるほうが話が進みやすい。ただ、会社の都合だけに寄せると自分が伸びない案件に入ることもあるので、そこは分けて考えたほうがいいという注意つきでした。

動くと決めたときの、損しない辞め方

在職中に次の方向を決めてから、揉めずに淡々と退職してください。この順番で進めれば、経験が浅いことが理由で不利になることは多くありません。

揉めるような辞め方はやめたほうがいい、というのが米田の持論です。黙って淡々と次の職場に移るのが一番だと話しています。狭い業界で、現場の人とどこかで再会する可能性もあります。

年収はスキルより環境で決まる、という見方を米田はよく話しています。上がるかどうかは、その会社がどんなビジネスをしているかが大きい。だから次を探すときは、職種名や年収レンジだけでなく、どこからお金が入ってくる会社なのかを見ておくと判断がぶれにくくなります。もちろん、移れば上がると約束できるものではありません。

辞める前にやる棚卸し(BE-DO-HAVE)

Have(今あるもの)、Be(ありたい姿)、Doの順に書き出すと、辞めると残るのどちらが自分の方向に近いかが見えてきます。ENFIが受講生に最初にやってもらうワークシートの型です。

スキルや年収の話は、そのあとで考えます。先に今持っているものとありたい姿を書き出し、その差から行動を決めます。この順番で考えないと、辞めるか残るかの二択で迷い続けることになります。

1〜2年目の方はHaveが薄いと思い込みがちですが、そんなことはありません。米田も、ひとつの工程だけでもしっかりこなせていればそれは立派な経験だと言っています。見落とされやすいのはドメイン知識です。担当したシステムが何の業務を支えていて、どこで人が困るのか。これは技術書には載っていない、現場にいた人だけのHaveです。

Be1の設問は「あの人といえば○○、と言われたい専門性は何か」。ここが埋まると、今の現場がその方向に近いのか遠いのかが判定できます。そのうえでDo1、3ヶ月以内の行動を決める。転職・残留・現場変更・学び直しのどれになるかは、書いてみてから決めて大丈夫です。

今日からできる次の一歩

  1. Have1の設問に、今の現場分だけ答える。プロジェクトの内容、自分の役割、使った技術。箇条書きで構いません
  2. 次の営業面談で伝える希望を1行にまとめる。「○○をやりたい、それは会社の△△に貢献できるから」の形で

書いていて手が止まった項目があれば、その項目が今の現場で書けるようになりそうかを考えてみてください。それが、残るか動くかを決める材料になります。

よくある質問

1年未満でSESを辞めると、次の選考で不利になりますか

期間そのものより、その期間に何をして何を学んだかを説明できるかが見られやすいところです。短くても現場での役割と改善した点を言語化できれば材料になります。

現場が合わない場合、まず何をすればいいですか

自社の営業や担当者に現場変更を相談するのが先です。辞めるより手間が少なく、変わる可能性もあります。相談のときは不満ではなく、次にやりたい業務を具体的に伝えると話が進みやすくなります。

テストや運用監視ばかりで開発経験がありません。これも経験として書けますか

書けます。ひとつの工程でもしっかりこなせていれば立派な経験です。使った技術と自分が下した判断をセットで残しておくと、職務経歴の材料になります。

辞めるか迷っている段階で、退職を会社に伝えるべきですか

方向が決まる前に伝える必要はありません。在職中に整理と情報収集を進め、決まってから淡々と伝えるほうが揉めにくいです。

未経験入社でSES以外に選択肢はなかったのでしょうか

経験が浅い人を受け入れる入口として、SESは選択肢が比較的多い構造です。入口の選び方より、そこからどうステップアップするかのほうが後の差になりやすいところです。